k2907
鐔 無銘 大森彦七図

Tsuba
no sign "Ohmori Hikoshichi"(from "Taiheiki")

ご成約を賜りました
 Sold out
刀装具販売品 鍔 無銘 大森彦七図鐔

(length)72.8mm (width)69.3mm 切羽台厚さ(thickness)4.2mm ※耳際(edge)4.4mm
重量(weight)116g
鉄地竪丸形鋤下高彫銀素銅象嵌金布目象嵌 made of iron, gold,silver and suaka inlay

 『太平記』に収録されている大森彦七が矢取川(現 愛媛県砥部市)で楠木正成の怨霊であるところの貴女に遭遇した怪異譚に題を採った鐔。大森彦七は楠木正成を自刃に追い詰めた足利尊氏方の武将。その功で伊予国に所領を与えられていた。そんなある日金蓮寺で猿楽が催される折に彦七も舞を一指し舞うことになり、寺へと赴いた。
その途中、矢取川に差し掛かった時、一人の女人が川岸に佇んでいた。聞くと「川の流れが急なために渡るのを難渋している」という。ならば、と彦七は背中に女人を背負って川を渡った。川の途中まで差し掛かった時、急に背中が重くなるのを感じた彦七は満月の光を受け冴え冴えと光る水面越しに映った女人の姿を覗き見た。― 満月の水面に映ったのは、たおやかな女人ではなく、耳まで口が裂けた世にも恐ろしい形相の鬼女であった。鬼女は彦七の髷を取り天空へ舞い上がろうとするが、そこは豪胆で知られる彦七、逆に鬼女の腕を取り応戦する。もみ合う彦七と鬼女―。やがて鬼女は己が楠木正成の怨霊であることを告げると、天空へ去っていく―。
鐔表には、まさに息詰まる鬼女と彦七の対決の様子が、高彫象嵌で臨場感たっぷりに彫り描かれおります。一際肉高く隆々とした彦七の手足の様子、銀象嵌で表現された月夜に浮かぶ鬼女のおどろおどろしい表情、そして覇気漲った彦七の眼力が力強く表現されております。一方で鐔裏には、怨霊が天空へと去った後の情景でしょうか。誰もいない静かな風景が描かれており、この怪異譚の不気味な余韻を醸しております。




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