k2993
鐔 無銘 龍退治図

Tsuba
no sign "Ryu taiji" (dragon slayer)

価格 13万円
Price 130,000JPY

鐔 無銘 龍退治

(length)79.4mm (width)74mm 切羽台厚さ(thickness)3.8mm ※耳際(edge)3.7mm
重量(weight)145g
鉄地四ツ木瓜形高彫据紋金銀色絵 金覆輪
made of iron, Mokko shape, inlaid motifs with plating on tha ground (=Suemon) ,
covered with gold on the rim (=Fukurin)

落し込桐箱入 come in a special Kiri Box

 妖気漂う渦巻く雲を纏い天空を飛翔する黄金の龍、それに対しせり出した巌に足を踏ん張り、銀色に煌く剣を持って迎え撃たんとする勇者。世界中―、殊にユーラシア大陸の西半、中東からヨーロッパにかけて広く伝説が分布している「龍退治」のシーンを描いた鐔。鐔全体を引き締める鮮やかな金覆輪が一際目を惹く。
 さて画題の「龍退治」であるが、先に述べた通りユーラシア大陸全般に広く分布しており、「龍」を退治しその結果絶大な力や財産を手にするという「屠龍 あるいは 龍退治(dragon slayer)」は、主に中東からヨーロッパにかけて、殊にキリスト教世界によく見られる伝説の一形態で、聖ジョージ(聖ゲオルギウス)の龍退治などが有名である。幻獣の中でも特に強大な存在のドラゴンを倒すことのできる武器あるいは英雄は、絶大な力を秘めるものとして「ドラゴンスレイヤー」、すなわち「竜殺し」と讃えられるものだ。龍殺しの物語で基本的な類型は、洞窟などで財宝を守るドラゴンと、それに挑む勇士の戦いというものであり、世界中に散らばる英雄伝説の中では、龍退治は重要な要素ともなっている。所変わりユーラシアの東半、インドから日本までのアジアの広域―、即ち仏教文化圏になると、龍の在り方そのものが西洋と性質を異にし、仏教の八分衆に組み込まれ神性を与えられる。必然的に龍をめぐる伝説もまた西洋と異なるものとなり、いわゆる西洋の「龍退治」の伝説はなりを潜めるが、それでも東洋においても「龍退治」の英雄譚が全く存在しないわけではない。日本の有名な「スサノオノミコトのヤマタノオロチ退治」も「龍退治」の類型の一つと見られる。また出典がいまいち不明ではあるが、大阪のだんじりの地車の彫刻には「高祖(劉邦)の龍退治」という画題が見られる。この鐔もあるいはそういった数少ない東洋の「龍退治」の伝説の一つなのであろう。

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