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短刀
銘 廣貞
(菊地槍写し)
(ひろさだ)

Tanto
signature Hirosada
(Kikuchi -yari Utsushi)


肥前国 江戸時代中期 約275年前
Hizen province
late Edo period, about 150 years ago


刃長 (hacho)

五寸四分七厘半
(16.6cm)

反り (sori)
なし
(no curve )
元幅 (motohaba)
六分二厘強(1.9cm) 重ね (Kasane) 二分五厘(0.75cm)

彫刻 表裏 腰樋丸止め
engraving ; Koshi-hi, Marudome
銀着一重ハバキ(fitted with silver foil single habaki)
白鞘入 (come in a magnolia scabbard)

昭和50年東京都登録(3月25日 192317号)

価格 13万円
Price 130,000JPY

身幅尋常ながら重ね頗る厚い短刀。両区は深く反り殆ど無く、腰元にやや細い樋が掻かれ、中程より先の棟の肉が僅かに削がれ、鋭利で頑健な姿。一見すると冠落とし造風である。が、作者の念頭にあったのは、あの菊池槍ではなかろうか。
  菊地槍は、肥後の武士で後醍醐天皇の南朝方として戦った菊池武光が考案し、延壽刀工に造らせたと伝える槍。元々槍は蒙古襲来以後の大きな社会変化と戦闘の激化により登場した。片切刃造の短刀にも見える姿で、長柄に附されて使用されたのが始まり。この新兵器を手にした雑兵により、戦場の露と消えた騎馬武者も少なくない。この短刀も茎を長柄に装着すれば、なるほど、槍になる。
  表題の作は細かな板目肌、刃寄り微かに柾を交え、粒だった地沸ついて肌目立ち、鉄色は晴れやか。刃文は直刃、浅く揺れ、刃縁に深くついた小沸はきらきらと輝き、小形の金線・砂流し微かにかかり、帽子は掃き掛けて浅く返る。後醍醐天皇の皇子大塔宮、足利尊氏、新田義貞、楠正成らが躍動した時代への思慕を感じさせ、小品ながら見応えのある作となっている。

短刀 銘 廣貞

短刀 銘 廣貞 差表 鋒 短刀 銘 廣貞 差裏 鋒