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黒石目地塗鞘脇差拵
刀身 脇差 大磨上無銘 平高田

Kuro ishime-ji nuri saya, Wakizashi koshirae
with Wakizashi no sign(O-suriage, Mumei) Taira Takada


黒石目地塗鞘脇差拵 Kuro ishime-ji nuri saya, Wakizashi koshirae
拵全長(whole length) 二尺三寸四分九厘(71.2cm)
柄長 (hilt length) 五寸九分七厘(18.1cm)

縁頭
(Fuchigashira)

荒波図
大森英秀(花押)と銘有 銀地
"Nami" (wave), made of silve, inscribed Omori Teruhide (false name)

目貫 (Menuki)

一疋獅子図 金無垢地容彫
"Shishi"
(lion), made of gold

(Tsuba) 輪違透図 無銘 赤銅魚子地地透
"Wa-chigai" sukashi
no sign, made of shakudo, openwork
小柄(Kozuka)

蓑亀図 銘 後藤光良(花押) 赤銅魚子地高彫色絵
"Mino-game " signature Goto Mitsuyoshi (Kao) made of Shakudo, iroe



脇差 大磨上無銘 平高田 Wakizashi no sign(O-suriage, Mumei) (Taira Takada)
豊後国 室町時代後期 約470年前
Bungo province, late Muromachi period, about 470 years ago

刃長 (hacho)
一尺五寸七分四厘
(47.7cm)
反り (sori)
四分五厘(1.36cm)
元幅 (motohaba)
六分九厘 (2.11cm)
先幅 (sakihaba)
五分九厘(1.8cm)
重ね
(Kasane)

一分七厘強(0.54cm)

 

金着一重ハバキ
fitted with gold foil single Habaki
白鞘入
come in a magnolia scabbard

昭和28年秋田県登録(3367号 3月19日)
保存刀剣鑑定書平高田
certificate NBTHK (Hozon, attributed to Taira Takada)

価格 40万円
Price 400,000JPY


 身分格式に応じた言葉遣いや衣服、振る舞いが重んじられた江戸時代、登城する武士は黒蝋色塗鞘に赤銅磨地の献上鐔をかけた殿中拵を用い、平素も身分、状況を鑑み、拵を選んでいたのである。
 さて、表題の黒石目地塗鞘脇差拵は上位の武士が普段差の大小一腰の小刀として用いられたとみられ、柄は僅かに立鼓が取られて形よく、親粒の大きな白鮫皮が着せられて黒糸で堅く巻き締められいる。拵の美観の要は獅子図目貫で、肉置きよく金色鮮やかで豪華。縁頭は銀地を谷深く山高く彫り、ごうごうと音を立てて押し寄せる波が見事に活写され、波間を泳ぐ蓑亀図小柄が長寿と繁栄を暗示させる。鐔は輪違模様で、光沢のある赤銅に整然と魚子が打ち蒔かれ、柄と鞘に調和し、なんとも洒落ている。附帯する脇差は室町時代後期の豊後刀工、すなわち平高田(注1)と極められた大磨上無銘(注2)の一振。身幅重ね尋常で、鎬筋凛とし、磨上ながら反り高く中鋒の均整のとれた姿。詰んだ小杢目鍛えの地鉄は地沸厚くついて、淡く乱れごころの映り立ち、温潤味のある肌合い。刃文は直刃調小互の目、小丁子、尖りごころの刃を交えて浅く湾れ小模様ながら多彩に変化し、匂勝ちに小沸ついて刃縁ふっくらと明るく、小足・葉盛んに入り、刃中は匂で澄む。帽子は乱れ込み掃き掛けて小丸、長めに返る。室町期の備前長舩物を見るような上々の出来映えとなっている。

注1 備前伝を得意とした棟梁平長盛に率いられ、九州最大の大名大友氏に仕えた。平姓を名乗るため、「平高田」と称される。
注2 棟鑢を香包鑢で仕立てる等、磨上は丁寧。





脇差 大磨上無銘(平高田)





 
 

脇差 大磨上無銘(平高田) 差表 区上
脇差 大磨上無銘(平高田) 差表 中央
脇差 大磨上無銘(平高田) 差表 鋒
脇差 大磨上無銘(平高田) 差裏 区上
脇差 大磨上無銘(平高田) 差裏 中央
脇差 大磨上無銘(平高田) 差裏 鋒