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菊地槍直し短刀
無銘 


Kikuchi-yari naoshi Tanto
no sign


肥後国 室町時代 約450年前
Higo province
Muromachi period, about 450 years ago


刃長 (hacho)

八寸四分一厘半
(25.5cm)

反り (sori)
内反り僅少
(a little curved on the inside)
元幅 (motohaba)
五分九厘半(1.8cm) 重ね (Kasane) 三分六厘(1.10cm)

彫刻 表裏 腰薙刀樋
engraving ; ”Koshi Naginata-hi" on the both sides
銀一重ハバキ(fitted with silver single habaki)
白鞘入 (come in a magnolia scabbard)

平成28
年東京都登録(3月8日 315102号)

価格 20万円
Price 200,000JPY

 菊池槍直しの短刀。菊池槍とは最初期の槍の一つで、南朝の肥後菊池武光が考案し、延壽鍛冶に造らせたという。戦闘激化の当時、長柄に短刀を附したような形状の菊池槍の威力は絶大で、名だたる騎馬武者もこの槍の錆となった。しかも遠征の際にはこの槍の身のみ大量に携帯し、移動先で竹の木を切って容易に装着することが可能で、この利便性もこの槍が盛行した要因。また威力があると分かると上級武士も槍を手挟んで参戦する等、武器の革命をも引き起こした。南朝浪漫に満ちて、古来人気がある菊池槍は実用に供された故であろう、現存する作は極めて少ない。
 表題の作は室町時代に制作された菊池槍を直して短刀とした一振。身幅尋常ながら重ねは三分六厘程で頗る厚く、僅かに内に反ってふくら枯れごころとなって寸法延び、刺突の利便性が最大限に考慮されており、しかも腰元には薙刀樋、そして中程よりも先の鎬地の肉が削がれて鎬筋強く起って裁断能力も充分。所持者は危急の際、この短刀で応戦せんとの思惑があったものであろう。茎も掌にすっぽり収まる長さにて操作性も優れている。地鉄は小板目に流れごころの肌を交え、鍛着面が僅かに粗なる部分があるも総じて詰み、白く映り立つ。直刃調の刃文は刃縁沸づき、小形の金線・砂流しかかり、刃中も沸で明るい。帽子は浅く乱れ込み、僅かに掃き掛け、焼詰めごころに浅く返る。元来長かった茎は短刀用に切られて目釘が穿たれている。戦陣の武士と共にあったもので、用の美の何たるかを如実に物語る一振となっている。

菊池槍直し短刀 無銘

菊池槍直し短刀 無銘 差表区上 菊池槍直し短刀 無銘 差表 鋒
菊池槍直し短刀 無銘 差裏 区上 菊池槍直し短刀 無銘 差裏 鋒