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脇差

銘 近江守法城寺橘正弘(初代)(業物)


Wakizashi
signature Ohmi no kmi Hojoji Tachibana Masahiro (the first)
(Wazamono)




武蔵国 江戸初期 寛文頃 約350年前
Musashi province, about 350 years ago (Kanbun era)
刃長 (hacho)

一尺六寸九分三厘
(51.3cm)

反り (sori)
三分九厘半
(1.20cm)
元幅 (motohaba)
一寸九分(3.30cm)
先幅 (sakihaba)
七分二厘半(2.20cm)
棟重ね
(Mune-gasane)
二分弱(0.60cm)
鎬重ね
(Shinogi-gasane)
二分三厘(0.70cm)

金着二重ハバキ
fitted with gold foil double Habaki
彫刻 表裏 棒樋丸止
engraving ;"Bo-hi, maru-dome" on the both sides
白鞘
come in a magnolia scabbard
昭和47年岐阜県登録(6月1日 39420号)

保存刀剣鑑定書初代
certificate NBTHK (Hozon, attributed to "the first" )

価格 25万円
Price 250,000JPY


 法城寺正弘は名を滝川三郎太夫という。本国は但馬国。武家の新都江戸に出、江戸城下滝川町(注@)に住して槌を振るった。切れ味よくかつ地刃の出来も優れ、『日本刀工辞典』では「虎徹と変わる處なきを以て近年殊に鑑賞厚い」と高評されている。
 この脇差は身幅広く先幅も充分に重ね厚く、中間反りながら腰元にも反りが強くついて中鋒に造り込まれ、棒樋深く掻かれてなお手持ち重く、裁断と刺突両方に利便性のある江戸新刀らしい姿(注A)。地刃は小板目肌詰み、太い地景が縦横に働き、地沸が豊かに湧き立って肌潤い、弾力味のある肌合いとなる。正弘得意の直刃調に小互の目交じりの焼刃は刃縁よく沸づいて明るく、刃境に湯走り、刃中に長い沸筋かかって二重刃がかり、殊に差表は物打付近で大きく食い違って層をなし、沸足無数に入り、刃中も沸づいて明るく、変化に富んで見応えは充分。帽子は焼深くよく沸づき、表は強く掃き掛けて焼き詰めごころに浅く返り、裏は僅かに掃き掛けて小丸に返る。茎に太鑚で力強く刻された銘字は「城」の成の第四画が跳ね、「寺」の寸がサ形となって初代の特色が顕著。乕徹と比肩する江戸の業物作者の優質が示された一振。

注@現銀座5〜6丁目辺り。
注A「脇毛二ノ胴重二ツ胴裁断」の寛文六年山野勘十郎久英の試銘入りの刀がある。(『銀座情報』161号)

刀 銘 祐定